JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

祈祷料・お札 等の消費税

Web担当です。

2021年も1週間が経過しました。

今年はコロナの感染拡大状況を考慮して
自粛を選んだかもしれませんけれども、
いつもの年であれば、このタイミングで
仕事始めと共に会社の近くの神社に行って
現場や車両の事故が無いよう安全を祈願する、
あるいは商売の繁盛を祈願するということを
やられる事業者様もいらっしゃることでしょう。

そういった祈祷料・玉串料・初穂料について、
会計処理をするにあたって間違えやすく
気を付けなければいけないのが消費税。

消費税法は「事業者が」「事業として」
「対価を得て行う」「資産の譲渡等」を行えば、
その取引は消費税が課税されるものになると
規定していますけれども、これに従えば、
安全祈願に対して支払う祈祷料等は
消費税の課税取引だと思えるかもしれません。

しかし、消費税の取扱い上、祈祷料等は
行為の対価の支払いとはされていません。

これは、国税庁が発表している質疑応答事例にも
出ていることなのですけれども、祈祷料等は
宗教法人等が行う宗教活動に対する支出
すなわち喜捨金、寄進として認識されて、
資産の譲渡等の対価とは見なされません。

つまり、4要件のうち、対価性を満たさないので
消費税の課税の対象とはならないのです。


祈祷料や玉串料は消費税が不課税。

では、正月に神社に参拝をした際に発生する
それ以外の支出に関してはどうなのでしょう。


例えば、安全祈願等の際に購入するお札や
お守り、おみくじや破魔矢などについては明確に
物品を購入しているので対価性を満たして
消費税の課税になりそうにも見えますよね。

しかしこれ等についても法人税基本通達は
15-1-10(2)において、宗教法人が行う
これ等の販売の場合は原価と売価との差額、
すなわち通常の利益部分はその性格上、
喜捨金とみなされるとしているために、
祈祷料等と同様に対価性を有さないことから
消費税の課税取引とはなりません。

ただし、酉の市などで境内に出ている出店から
熊手を購入したような場合、宗教法人以外の
一般の事業者から購入したことになりますから、
通常の「国内において事業者が行う物品の売買」
に該当して4要件を満たし課税取引となります。

また、宗教法人が販売しているものであっても、
一般の事業者も概ね同様の価格で販売している
カレンダー、絵葉書、写真帳、線香、ロウソク、供花
といったような物品を参拝者等が購入した場合は、
これは通常の物品販売業と同様に対価性を有し、
消費税の4要件を満たして課税取引となります。


宗教法人に対する支出の税務会計については
ぱっと見では分かりにくいところも多々ありますので、
また機会を見つけてここでも事例を挙げながら
説明していけたらいいなと思っています。