JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

給付金・協力金の課税関係について

Web担当です。

 

多くの事業者様が申込んだであろう
東京都や神奈川県等が交付した
新型コロナ感染拡大防止協力金や
国の持続化給付金ですけれども、
その課税関係について改めて
ここで説明をさせていただきます。


結論からいいますと、これらの入金額は
法人税所得税ともに課税所得であり、
すなわち、法人であれば法人税の、
個人事業主であれば所得税の、
それぞれの税金を課される対象となります。

 

が、そう言われてもピンと来ないという
人も多いでしょうから、今回はそこを
ごく簡単に説明してみようと思います。

 

前提として、補助金助成金を給付された時は、
法人税法では益金となって課税がされますし、
所得税法でも一部のものを除いて課税されます。

 

会計で言うところの正規の営業循環における
取引ではないと考えるのが普通でしょうから、
使用される勘定科目は営業外収益である
「雑収入」とするのが通常の処理でしょう。

 

個人事業主の場合の事業区分ですけれど、
感染拡大防止協力金も持続化給付金も
事業所得が減少したことに対する補填という
意味合いで給付されたものと言えますので、
一時所得ではなく、事業所得を構成します。

 

つまり、ちょっと俗っぽい言い方をするならば、
新型コロナウイルス感染症の影響で減少した
事業所得(売上)の穴埋めで受け取った給付は
減少した所得と同じ事業所得として認識し、
計上をするのが処理として正しいということです。

 

個人事業主の方は来年の確定申告の際に
このことを忘れずに、必ず事業所得に
感染拡大防止協力金や持続化給付金を
雑収入等で計上しなければなりません。

 

それを忘れてしまうと所得の申告漏れになり、
所得税の納税不足分の納付だけではなく、
延滞税等も課される可能性があります。

 


さて、ここでもう1つ問題になってくるのが、
では消費税についてはどうなるのか、です。

 

ここについても、国は既にこれらの給付は
消費税の課税対象とはならない旨を
明らかにしていますが、その根拠は
どういったことになるのか少し考えてみました。

 

消費税の課税対象となるものは「国内において」
「事業者が事業として」「対価を得て」行った
「資産の譲渡等」であり、これをしばしば
消費税の4要件と呼んだりもします。

 

感染拡大防止協力金や持続化給付金は、
この4つの要件を満たすのでしょうか。

 

どちらも国内の事業者が対象となっているので、
「国内において」「事業者が事業として」という
2つの要件は満たすことが明らかです。

 

では、残りの2つについてはどうなるでしょう。

 

所得税法人税の課税関係のところで書いたように、
この協力金は給付金は、新型コロナを原因として
休業や時短営業、売上の減少が発生したこと、
すなわちコロナによる逸失利益を補填する為の
ものでありますから、事業の益金として認識されます。

 

とはいえ、実際に何らかの営業取引がそこで
行われているかということを検討すると、
「資産の譲渡」や「役務(サービス)の提供」は
そこには存在しませんから、これを通常の
売上と同様に考えるのは誤りといえます。

 

ここで参考になりそうなのは、再開発などにより
不動産が収用された場合に受け取る
収益保証金の取扱いではないかと思われます。

 

収益保証金というのは収用の対象となったことで
失われる収益の減少分について補填を行う
という趣旨で支払われる保証金であることから、
対価性がないとして消費税は不課税です。

 

これに準じて考えるのであれば、今回の
感染拡大防止協力金についても同様に、
「国内」「事業者が事業として」の2つの要件は
明らかに満たしていますけれども、それ以外の
「資産の譲渡等」と「対価を得て」については
満たしているとは認められないことから、
消費税の課税取引にはならないとなります。

 

つまり、消費税の課税対象外取引として
給付額を雑収入に計上することが
会計処理として考えられるということです。