JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

輸出物品販売場での免税販売の改正?

Web担当です。

今月頭のことだからちょっと前の話ですが、
訪日外国人への消費税の免税販売制度の
悪用が目立つことから旅行などで来日した
「短期滞在者」以外の免税制度利用を
禁止する(制度の対象から外す)という話が
読売新聞オンラインに掲載されていました。

空港の保税地域内にある免税店ではなく
市内にある免税店(輸出物品販売場)は
「外国人旅行者等の非居住者に対して
特定の物品を一定の方法で販売する場合」
その物品の価格に消費財を課さずに
販売をすることができることになっています。
( 「  」 内は観光庁 免税店HPより転載)

そもそも消費税というのは国内で行われる
消費活動に対して課税をする税金なので、
国外への持ち出しが前提の物品購入は
課税の対象外という理屈が先にあります。

しかし、消費税が間接税の形式であって、
実際の消費者ではなく、消費者に物品や
サービスの販売を行った事業者に対し
納税義務を課していることから、
実際には国内で物品やサービスを
購入した場合にはその価格には消費税が
(免税事業者からの購入で無い限り)
必ず上乗せされていることになります。

販売する事業者の側からしてみれば
サービスはその場で消費されるので
国内消費に決まっていますけれども、
物品に関しては、その購入者が
消費活動をどこで行うかは分からない。

そこで消費税法は消費税の課税対象を
「事業者が」「事業として」「対価を得て」
「国内で販売した」サービスや物品という
4つの要件を満たすものと規定しています。

ですから、私達が店で物を買う時には
そこに普通に消費税が乗ってくるわけです。

これは購入者が外国人でも同じなのですが、
一方で、購入した物品を持ったまま数日で
出国することがほぼ確実な旅行者ならば
消費税は上乗せしなくてもいのではないか、
という考えも、また成り立ちますよね。

そこで作られたのが、免税店の制度です。

所轄税務署に届出て許可を受けた店が
一定の商品を非居住者に販売した場合は
消費税を上乗せしない免税価格とする
というのがこの制度の概略になります。

現状では留学生等、ある程度長期間日本に
滞在する者でも入国から半年間であれば
免税店の免税販売を利用できます。

しかし、これを悪用して免税で購入した物を
消費税込の価格で転売して利ざやを得たり、
もしくは消費税抜の価格で手に入れて
自らが国内で消費したりというような
不正行為が疑われる購入が多くみられ、
それを行えないようにしようということが、
今回の改正案の背景にある話です。

それも当然という流れではありますが、
不正をする者が出ることで制度が
規制を強化するような方向で
改正されることになるというのは、
国外居住親族の扶養控除の件同様、
あまり歓迎できる話では無いと思います。