JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

居住用貸付物件売却と消費税納税義務判定

だいぶ前になりますが、消費税課税の理屈を
何回かに分けて記載していった際に、
基準期間の課税売上が1,000万円以下
である場合には消費税の納税義務のない
免税事業者になるということを説明しました。

 

例えば副業として不動産賃貸をしているような
人の場合、そのほとんどが消費税非課税の
居住用として貸し付けているのであれば
これを満たさず、免税事業者になることでしょう。

 

それは、マンションを複数棟所有していて
年間の家賃収入が4,000~5,000万円に
なっているとしても同じで、居住用として
貸し付けている分には課税売上にならないので、
それがいくらでも課税事業者にはなりません。

 

しかし、これには例外が存在します。

 

それが、賃貸借用として貸していた物件を
売却した際の建物部分の売上額は
課税売上になってしまうということです。

 

例えば所有しているマンション1棟に対し
非常に有利な条件の売却話が発生し、
土地3,000万円、建物1,500万円の
合計4,500万円で売却したような場合。

 

賃貸する部屋がほとんど居住用で非課税でも、
この場合、その売却を行った年度については
課税売上高が1,500万円あることになります。

 

つまり、その年が基準期間の事業年度(2年後)
は消費税の課税事業者となってしまうのです。

 

賃貸している物件の中に居住用以外の
用途に使われているもの、例えば店舗や
事務所等に使われているものがあると、
この場合、納付しなければならない
消費税が発生する可能性がでてきます。

 

また、特に注意しなければならないのは、
課税事業者となってしまった年に
別の所有物件の売却を行ってしまうと、
課税売上高がその分だけ大きく増えるので
納付しなければならなくなる消費税も
その分大きく増えることになるということです。

 

複数の賃借物件を保有している場合には、
その点には気を付けなければなりません。

 

なお、個人事業者が自分が住んでいた物件、
つまりマイホームを売却した場合については、
「事業者が」「事業として」「対価を得て」「売却等」
するという消費税の課税要件のうちの、
「事業として」を満たしていませんので
課税売上とはなりませんから、今回説明した
こういった問題は発生してきません。