JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

不動産屋の支払う紹介手数料の税務 2

Web担当です。

今回は、前回に引き続き、不動産賃貸業を
行っている事業者が知人などに対して
紹介料などを支払った場合にそれが
交際費等の支出に該当するか否かについて、
簡単に書いていきたいと思っています。

租税特別措置法関係通達61の4(1)-8 は
その紹介料の支払先が不動産仲介業者など、
代理、あっせん等の役務の提供を業とする
事業者でない場合に、交際費等に該当しない
こととなる条件を定めている通達でした。

通達の内容にしたがってそれ等3つの
条件を以下に列記してみましょう。


① 事前の契約に基づくものであること
② 提供される役務の内容が契約で
 明らかにされていて実際に
 提供が行われていること
③ 対価が妥当な範囲のものであること



この3点を満たすのであれば、仲介業者以外に
支払った紹介料も税法的に交際費等ではなく
支払手数料等に該当すると課税当局側が
認識していることを、この通達は示しています。

例えば不動産屋が情報提供をしてくれた人に対し
契約手数料の1割を紹介料として支払うとして、
新しい情報提供があるごとにその内容と金額が
書かれた確認書を渡し領収証をもらったとしても、
それでも「手数料」と言い切れるかどうかは
この通達の限りでは微妙なように思えます。

事前に契約を交わしていないわけですから。

民法上、請負、委任は意思表示だけで成立する
「諾成契約」となっていますから、口約束であっても
法的に有効な契約となるようですけれども、
例えば、紹介したい人がいると言われてから
手数料の条件面を詰めていったものではなくて
「事前に交わしていた」ということを証明するのは、
上記のような感じで支払いを行っているのでは
かなり難しいと言わざるを得ないように思います。

下話があった時点で書面の契約書を交わすのが
最低限必要となるのではないかということと、
それ以外にも、その事業者のホームページで
顧客紹介の際の謝礼金の支払条件等を告知し、
金額の合理性も確保するようにしていく……

さらに、特定の者(例えば友人)のみを対象に
そのような紹介料の支払いを行っているのでは
ないということを証する為に紹介依頼の
チラシ等を事業所に備え付けたうえで配布する。

そのくらいまでやっているのであれば、ようやく、
これは「交際費等」では無いのだということを
強く主張することも可能になってくるのではないか。

と、これ等はあくまで私見ではありますが、
そんな風に現時点では感じています。

ここでの詳述は長くなるので行いませんけれども、
一般的な用語としての「交際費」と税法で規定する
「交際費等」とはその範囲が異なるものであり、
税法の「交際費等」は一般用語の「交際費」よりも
広い範囲の支出を含むものだと言われています。

交際費等に該当するか否かが争われた裁判も多く、
判断に困った時には、税理士などの専門家に
必ず確認をすることをお勧めさせていただきます。