美術品と減価償却(その2)
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
1週間ほど前に公開したエントリでは、
有形・無形の固定資産を購入した際に
減価償却処理を行うことができない
非減価償却資産というものがあること、
その中でも特に「書画骨とう等」について
簡単に説明させていただきました。
しかし、「美術品」とひとことで言っても
具体的にどういう条件を満たせばそれに該当するのか、
そこが分からないという人もいるでしょう。
法人税法の基本通達7−1−1では、
「書画骨とう等」を次のように規定しています。
法人税法 基本通達 7−1−1
書画骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く。以下7−1−1において同じ。)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。
(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
(注) 書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。
これを、どのように実務に落とし込むかですが、
一般論として、おおよそ次のような手順で
判定を行うのが適切なところでしょう。
1)その資産はオリジナルではなく複製品である
↓NO
2)その価格が20万円未満である
↓NO
3)号2万円未満の絵画である
↓NO
4)作者名が美術年間等に登載されていない
↓NO
「書画骨とう等」として非減価償却資産となる
上記の4条件のいずれかに該当するもの、
例えば、価格が30万円の絵画を買ったとしても
そのサイズが20号である場合(号あたり1万5千円)は、
3)に該当するので「書画骨とう等」とはならず、
通常の減価償却資産として扱うこととなります。
ちなみに、中小企業者の少額減価償却資産の特例は、
その資産が「書画骨とう等」である場合は
「減価償却資産」に該当しませんので、
摘要を受けることはできない、ということになります。
減価償却資産と非減価償却資産について
こうして簡単ながら文章を書く以上は、
一括償却資産の損金算入と、この少額資産の特例の
2つについても触れないわけにはいかないでしょうから、
次はそれ等についてご説明したいと思います。
時期が時期だけに、さすがに税理士試験が終わった後、
ということになってしまいますが、
そこはご了承いただければ幸いです。