JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

BTCに関する個人的、感覚的な認識 3

JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


これまでここここの2回に分けて
ビットコイン(BTC)の大きな特徴として
もっぱら語られている3つの項目、
中央管理者が不存在であること、
決済時の手数料が格安(無料)なこと、
発行上限枚数が決められていること、
を簡単に説明してきました。


もちろん、あの短い文章だけでBTCについて
しっかりとした説明ができたとは言いませんが、
システム的なことをいつまでも書いていても
仕方がないので、話を進めたいと思います。


会計や税法での BTC の扱いを考えるには、
そもそも BTC がどのようなものだと
分類されるのかが問題となってきます。


BTC については「通貨」であるという説に始まり、
「自由通貨」だったり「有価証券」だったり、
「銀行預金相当」という考え方もあって
どれが正解ということがはっきりと言いかねる
というのが正直なところではあるのですが……


ここで1つ大きなヒントになるであろうと思えるのが、
今年の7月1日以後に行われる取引から
適用される消費税法の改正内容になるでしょう。


従来の仮想通貨の売買は消費税の課税対象、
つまり消費税のかかる取引とされていましたから、
そこから想像するに、課税当局側としては
BTC を始めとする仮想通貨は価値ある資産であり
「通貨」や「銀行預金」と同様の課税対象外取引では
無いと考えていたということになります。


それが、7月1日からは非課税の扱いに変わるのです。


消費税法における非課税取引については
2012年の2月にこのブログでも説明していますが、
1)「国内において」
2)「事業者が事業として」
3)「対価を得て」
4)「行われた資産の譲渡等」

という4要件に該当するものは消費税が課税され、
社会福祉政策的な目的や、そもそもの消費税の
考え方に合わないからという理由で限定的に
非課税となる項目が挙げられる構造になっています。


その限定列挙項目のうち、では BTC は一体
どれに該当するのだと言えるのでしょうか。


これはそれぞれの項目を検討して行くだけでも
幾つかのパターンが思いつくわけですけれども、
昨年12月(今年の4月施行)の資金決済法の改正で
仮想通貨は支払い手段の1つであるとなったことを
考えて行くと、正解はどうなんだろうな、と思うわけです。


そこで、財務省のHP を調べてみました。


今年の3月31日に公布された政令のうち、
消費税法施行令の一部を改正する政令
これに該当することになりますね。


その「要綱」と「新旧対照表」へのリンクを貼ります。


要綱 (PDF


新旧対照表 (PDF


このうちの要綱を読んでみると、今回の改正が
資金決済に関する法律」(資金決済法)の改正を
受けて行われたことがはっきりと書いてあります。


ちなみに、G7各国で仮想通貨に消費税を
課しているのが日本だけであるということも
改正の背景にはあるのではないかという話も
数ヶ所で書かれているのを見たのですけれど、
ここについては、まだ裏は取っていないので
そこの判断は保留とさせていただいておきます。


さて、ここで注目すべきなのは、改正後の施行令で
仮想通貨に関する規定が挿入された箇所が
「支払手段その他これに類するもの」であるということ。


やはり、「支払手段」 という扱いなのですね。


まあ、今回の改正に至る流れから考えても、
それが一番無理のないところだと言えるでしょう。


これはあくまでも消費税法上の規程ですけれども、
今後、これが例えば法人税法所得税法
相続税法などにも影響を及ぼしていくだろうな、
というのは想像に難くないところです。


例えば法人の事業年度終了の時点において
時価評価をするべきなのかどうかという疑問。


そして、そもそも複数存在している取引所が
それぞれの価格設定をしている仮想通貨の
時価」 はどう求めるべきなのかという疑問。


後者については、相続や贈与が発生した時の
財産評価をどうすべきかということにも通じます。


今後の法改正の動向に注目せねばなりません。