JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

ふるさと納税の返礼品への課税

Web担当です。

2020年も残るところ2ヶ月半ほど。

ですので、ここで年間の所得税の節税策として
代表的な1つである「ふるさと納税」について
税法的な注意点をお話ししたいと思います。

寄付額に対する返礼品割合が3割以下という
規制がかかることになって魅力が少しだけ
落ちた感もあるものの依然として人気のある
ふるさと納税制度なのですけれども、
実はその返礼品が所得税の課税対象であると
ご存じの方はそんなに多くないかと思います。

こう書くと、例えば1万円のふるさと納税をして
3千円相当の返礼品を受け取っている場合は、
1万円で3千円の商品を購入したのと同等で、
つまり損をしているのだから利益課税である
所得税は発生しないと思うかもしれません。

確かに、1万円の支出と3千円相当の収入
というところだけ見れば、一理ありそうです。

しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。

それは、ふるさと納税の支出については
その全額が寄附金控除の対象として
所得の控除を受けているということです。

つまり納税者が支出した1万円は
返礼品購入の対価としてではなく、
あくまで自治体への寄付金なのであって、
返礼品はそれとは別個に自治体から
無償で取得したという扱いになるのです。

原価が0円で返礼品を手にしているので、
返礼品の価額相当額がそのまま全額
課税所得を構成することになるわけですね。

なお、所得税は全ての所得を10に区分し、
それぞれに計算方法を規定していますが、
ふるさと納税の返礼品が該当するのは
そのうちの「一時所得」だとされています。

また、一時所得については年間50万円の
特別控除がもともと存在しています。

つまり、多額のふるさと納税をしていなければ
確定申告をしなければいけないようなことには
なかなかならないと考えることもできます。

ただしそれは、他に一時所得が無い場合。

一時所得の課税所得金額は特別控除を
収入から差しいた残額の1/2相当額なので、
例えば1万円しかふるさと納税をしていなくとも、
それ以外に50万円の一時所得があれば、
特別控除である50万円を超過してしまう
返礼品の価額相当の3千円の1/2である
1,500円に対して所得税が課税されます。

では、一時所得になる収入にはどのようなものが
あるのかということですが、代表的なものを
いくつかあげますと、次のようなものがあります。

・ 競馬や競輪等の公営競技の払戻金
・ 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
・ 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金

こういった収入があって一時所得が50万円を
越えてしまいそうな場合には、確定申告を失念し、
結果的に脱税となってしまうことが無いよう、
充分に注意を払っていただく必要があります。