JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

株主優待の課税関係

Web担当です。

 

前回はふるさと納税について
返礼品に関する課税関係のことを
説明させていただきましたけれども、
今回は個人の資産運用でしばしば
選択される株主優待の話をいたします。

 

なお、優待目的での購入でもそうでなくても、
保有している株に対して行われた配当は
配当所得として所得税が課せられますが、
通常は分離課税として支払の時点で
所得税源泉徴収されることとなって、
課税関係はそこで完結いたします。

 

が、配当以外に一定数以上の株式を
保有している株主に対して行われる
株主優待に関しては話が別になります。

 

実は、株主優待で受け取ることになる
優待品やサービスに関する課税関係は
所得税本法には規定が無いものの、
所得税基本通達24-2において明確に
「雑所得」に該当すると定められています。

 

ふるさと納税返礼品の一時所得と異なり、
雑所得には特別控除は存在しないので、
収入金額から必要経費を差し引いた
所得金額が課税される対象となります。

 

株式の購入費用は優待の必要経費とは
考えませんので、優待品・サービスの価額が
そのまま課税所得を構成いたします。

 

つまり、ふるさと納税返礼品のように
他の一時所得を含めた金額の多寡を
検討する必要も無く、優待を受けた場合は
すなわち雑所得への課税が行われるのです。

 

ただし、給与所得を1ヶ所からのみ受けていて、
株主優待を含めたそれ以外の所得金額が
20万円以下である場合は申告不要なので、
株主優待を受けているといっても少額で
それ以外にこれといった雑所得が無ければ、
納税をする必要も無いということになります。

 

さて、ここで問題となるのは株主優待
受け取った優待品やサービスの価額を
いくらと考えるのが妥当なのかです。

 

株主優待の中には実施する企業の側が
明確に「〇〇円相当の優待品を進呈」と
示しているものがあったりもしますけれど、
そうではないものについては同じ物品
あるいはサービスを受けようと思った場合に
有料ならばいくらを払わなければならないか、
で評価を行うというのがいいと思われます。

 

以上のように、本来的には所得税
課税対象となる株主優待なのですが、
そのことを知っている納税者は少なく、
実際には株主優待に係わる確定申告は
ほとんど行われていないのが実情でしょう。

 

このことに対して課税当局が何らかの
アクションを起こしてくるのかどうか、
起こすとしたらそれはいつになるのか、
というようなことは分かりません。

 

とりあえずは、株主優待の優待品等は
課税対象になることを知っていただければ、
と思いこのエントリーを公表いたしました。

 

なお、法人が投資目的で所有する株式に
株主優待が実施された場合も基本は
個人所有と同様で、例えば雑収入等の
勘定科目に時価相当額を計上して
法人税の課税対象とすることになります。