JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

「源泉」という言葉

Web担当です。

 

国境をまたいだ「技術等の使用料」
の課税関係がどうなるのかという
質問を先日受けてお答えしました。

 

その際に、「国内源泉所得に該当するから
源泉所得税を納付しなければいけない」
という説明の中で補足として話したこと
について、今回は書きたいと思います。

 

非居住者や外国法人との取引の課税関係は
以前に2回に分けて書いているので、
ここでは申し訳ありませんが割愛いたします。

 

 
  

今回の本題の、補足が必要になったという
言葉は上記文中2カ所に出てくる「源泉」です。

 

「国内源泉所得」と「源泉所得税」の2つとも
「源泉」という言葉を使っていますが、
これを英語にすると前者は「withholding」で
後者は「source」となり、両者は明確に
意味合いが異なることが推察されます。

 

ここで「源泉」という用語の意味を説明すると、
「みなもと」と「いずみ」という漢字から成ること、
そして「水源」という言葉を連想していただけば
イメージは掴みやすいのではないでしょうか。

 

つまり税法で言うところの「源泉」というのは、
「所得という水が湧き出てくる泉」すなわち
「所得の発生する大元」のことを指します。

 

これを踏まえたうえで上記2つの言葉の
違いを説明させていただきますけれども、
「国内源泉所得」は「国内」に「源泉」が
存在する「所得」
を指す言葉であり、
「源泉所得税」は「源泉」から徴収される
所得税
を指すと考えていただければ
理解するのは難しくないと思います。

 

この、「存在する」と「徴収される」という
部分の説明が上記2つの用語からは
抜け落ちていることが、おそらくは
誤解の生じる最大の原因になっています。

 

「源泉」と言われて一般に想像するのは
給与やバイト代、報酬から天引きされる
源泉徴収税」ではないでしょうか。

 

そのイメージで「国内源泉所得」あるいは
それと対となる「国外源泉所得」を捉えると、
「源泉所得税」のうち、国内の企業から
徴収されるのが「国内源泉所得」であり、
外国の企業から徴収されるのが
「国外源泉所得」であるというような
誤った印象を持たれてしまうのでしょう。

 

「国内源泉所得」と「国外源泉所得」は、
実際にはその所得が国内か国外の
どちらで発生したかを示す言葉であり、
法人税所得税の課税対象か否かを
判断する時等に用いる概念になります。

 

非居住者等への支払から「源泉所得税」を
控除するのは、その支払が日本国の
課税対象となる取引の対価である時に、
非居住者等が日本での申告納付を
するかが必ずしも保証されないことから
税収を担保する目的で行われるもので、
そもそもの立脚点が異なる話です。