法人税率引き下げの代価
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
以前のエントリで来年度税制改正に触れましたが、
10月29日付の朝日新聞朝刊に、
その目玉の1つである法人税の減税に関する記事が出ていました。
経産省は法人税率の5%の引き下げを要望しているわけですが、
もちろん、ただでさえ法人税収の減っている現在、
この減税による歳入減少の穴埋めをどこで行なってくるかを
私としては大いに注目していたのですが……
税調の出してきた方針は、
「繰越欠損金」と「減価償却」の見直しでした。
青色申告法人が決算で計上した損失額について
最長7年間の繰越を認め、
期間内の決算で計上した課税所得との相殺を認めている
「繰越欠損金」については、
欠損金の充当による控除に限度額を定めるか、
あるいは繰越期間を短縮するということが検討される方向。
そうすることによって、
不良債権処理が終り業績が回復してきた大手銀行などから
税収を確保しようという狙いがあるようです。
「減価償却」については国際的な基準に合わせる形で
残存価格を0円(実務上は1円)にするという改正が
H19年4月から行なわれたばかりですが、
今回検討されているのは、償却期間・限度額の見直しのよう。
うーん、これは、中小企業の経営的には厳しい話です。
「減価償却」については一律に適用しないと
おかしな話になると思いますが、
「繰越欠損金」の方については、
税法上の中小企業者は従来どおり7年間繰り越せるとか、
そういう対応をしてくれるといいのですけれど。
いずれにせよ、これはあくまで「方向性」の発表に過ぎず、
ねじれ国会の現状において、
このままこれが改正内容に直結するかはまだ分かりません。
とはいえ、来年度の法改正において、
法人税法に大きな変更があることは確定的でしょう。