JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

資産計上の原則と特例 (減価償却)

吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


先月末今月頭の2回に分けて、
固定資産の減価償却処理において
美術品がどのように扱われるかを
簡単にご説明してきました。


その際に、後ほど改めて説明するとした、
少額資産や一括償却資産について、
今回は書いてみたいと思います。


事業の用に供する為に購入された
機械や備品などの物品あるいは
パソコンで使うソフトウェア等、
原材料のように商品・製品を構成し
売上と直接的に結びつかないものについては、
その利用もしくは時の経過とともに
一定の使用期間で費用化していくのが、
減価償却という処理です。


これは、2010年12月にこのブログでご説明した
「適正な期間損益計算」を反映した考え方ですが、
ならば3万円の工具、1万円の備品についても、
法定耐用年数に応じて減価償却を行い
費用の期間按分をしなければいけないのでしょうか。



結論を言いますと、そんなことはありません。


1)
まず、その使用期間が1年未満のもの
又は取得価額が10万円未満のものは、
重要性が低いことから減価償却処理はせず、
その取得時に全額を費用化することができます


2)
また、取得価額が10万円以上30万円未満
減価償却資産については、冒頭にも書いた、
一括償却資産」として扱うことができます


これは、その年度内に取得した減価償却資産で
上記の要件を満たし、かつこの規定の適用を
受けることを選択したものについては、
個々の取得価額を合計した金額を計算の基礎として、
3事業年度に渡って1/3ずつを費用化するというもの。


例えば1月1日〜12月31日という
暦年の事業年度を持つ法人の場合を例にすると、
1月10日に買った20万円の資産も、
8月23日に買った15万円の資産も、
12月3日に買った25万円の試算も、
取得月に応じて月割計算したりはせずに、
年度末の12月31日になった時点で
取得価格の合計額60万円に単純に割合を乗じ、
60×1/3=20万円を費用計上するのです。


3)
最後に、これは租税措置法により
時限立法されている内容なのですが、
一定の要件を満たす法人及び個人事業主であれば、
平成26年3月31日までに取得した減価償却資産で
取得価額30万円未満のものについては、
取得価額の合計が300万円に達するまで
その取得した日の属する事業年度において
全額を必要経費に算入することができます


この規定を受ける為の要件は、
青色申告書を提出する「中小企業者」であること。


で、その「中小企業者」とは、
・資本金(出資金)が1億円以下の法人で一定のもの
・資本金(出資金)が無い法人または個人で
 常時雇用する従業員が1,000人以下のもの
のいずれかを満たすもののことを言います。



1)〜3)のいずれの場合も取得価額に関しては
消費税を含めたものにするかどうかは
納税者がどのような処理をしているかにより、
税抜会計をしていれば税抜価格で、
税込会計をしていれば税込価格で判定を行います。


また、その納税者が免税事業者である場合には、
もともと消費税を認識しないので、税込で判定します。



ここで、私が1)〜3)のいずれにおいても、
その最後を「できます」という表現で
締めくくっていることに注目してください。


あくまでも冒頭に掲げたような資産は
一度資産計上してから減価償却処理により
期間按分をしながら費用化するのが原則で、
納税者自らが選択し経費として計上をした場合に限り、
1)〜3)の処理が認められるのです。


つまり「強制適用」ではなくて「任意摘要」というわけです。



1)と2)とはその適用範囲が重なりませんが、
3)はそれ以外の2つの処理と要件の範囲が重なります。


ですので、中小企業者に該当する事業者が
30万円未満のものを買った場合には、
資産計上しての減価償却をするという原則も含め、
どのような処理をするのが一番有利なのかを
しっかりと検討する必要がある
と言えます。


もしも自分だけでは判断に困ったら、
税理士等に相談すしてみるのもいいでしょう。