JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

エコカー補助金の経理処理

武蔵野市吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


先月をもって制度が終了したエコカー補助金ですが、
その補助金を受け取った際の
経理処理について、法人であることを前提として、簡単に説明します。


この補助金に限らず、
助成金補助金を受け取った際の処理は基本的に同じ。
「相手勘定を雑収入にして入金処理をする」
ということに尽きます。




なお、このエコカー補助金については、
明確な対価関係が認められない収入として、
消費税法上、課税対象外となっていますので、
この雑収入を課税売上としてはいけません。


この補助金は益金として計上しなければならず、
そこには当然法人税が絡んでくるのですが、
同額を車両の取得費から控除する、
いわゆる圧縮記帳という会計処理を選択することも可能です。


圧縮記帳には「直接減額方式」と「積立金方式」の
2種類のやり方があるのですが、
現実的なのは前者なので、ここでも前者のみ説明したいと思います。


「直接減額方式」を選択した場合に切るべき仕訳は、次の2本。


 1) 現預金 ××円 / 雑収入 ××円
 2) 車両圧縮損 ××円 / 車両運搬具 ××円


こうすることで益金を計上すると同時に同額の損金を計上でき、
補助金を収受した事業年度に法人税が増加することを回避できます。


この場合は、固定資産である「車両運搬具」の取得価額
補助金相当額だけ減額されるので、
取得日の属する事業年度以降に計上される減価償却費が少なくなる、
すなわち、今後この車両運搬具に関して計上される損金の額が、
合計で補助金相当額だけ少なくなることになります。


つまり、耐用年数に応じて費用化されていくはずだった金額の一部を、
取得年度において先に計上してしまうわけですが、
こうすると、取得年度の法人税額は押さえられますけれども、
その分だけ、翌事業年度以降の法人税額が増えるわけで、
これが、圧縮記帳「課税の繰り延べ」と言われる所以となります。






ちなみに個人の場合でも、その車が個人事業者の事業用資産である場合は、
使う勘定科目に違いはありますが、基本的に処理は同じです。


ただしその場合は、確定申告書に
「国庫補助金の総収入金額不参入に関する明細書」
(書式のPDFはこちら
を添付する必要がありますので、お忘れなきように。


上記の明細書を添付しなかった場合、
エコカー補助金「一時所得」として課税対象となります。
「一時所得」には特別控除が50万円あり、
一方のエコカー補助金は25万円か10万円ですから、
基本的には控除の枠内に収まって、所得税は発生しません。


しかし、エコカー補助金を収受したのと同じ年に
保険の満期返戻金等を受け取っているような場合には、話は別。


返戻金100万円とエコカー補助金10万円なんていうケースでは、
当然、その合計額が50万円を超える部分、
つまり60万円に対しては所得税が課せられることになります。


事業者以外の個人で、こういったケースに該当する場合にもやはり、
上記の明細書を確定申告で提出して、
エコカー補助金を課税対象外にする必要があるので、ご注意ください。