消費税免税事業者からの仕入れ その2
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
消費税の免税事業者との間で
行われた取引の経理処理に関し
知人から質問を受けたという話の
続きを今回はさせていただきます。
前回は触りの部分を書いただけでしたが、
一番肝心な点は、例えば物品を買った場合に、
その相手が課税事業者か免税事業者かを
確認して処理を変えるというような方法は
あまり現実的ではないということになります。
つまり、例えば近所の店で540円の文具を
事務用品として購入してきたような場合に、
それが税込み価格なのか税抜きなのかを
区別することは通常は行いません。
では、どうするべきなのでしょうか。
端的に言えば、購入した側は消費税の
基本原則に則って処理をすればいいのです。
ケース別に処理を書いたのが、下の仕訳例です。
購入した側の処理は相手が課税でも免税でも
特に扱いは変わらず同一の処理を行います。
ここで、免税事業者からの購入につき、
売却側・購入側がともに法人であり
法人税率が20%であると仮定して、
税金がどうなるのかを考えてみましょう。
売却側は売上が増えた40円分の税金8円を
国に多く納めますが、その一方で購入側は
本来であれば存在しない仮払消費税等40円を
自身が期末に納付する消費税額から差し引くので、
国の税収は差額の32円だけ減少します。
仮に免税事業者が事務用品を500円で
売却していれば売却側に差は出ませんが、
その場合でも購入側がその仕入れを
消費税課税対象外としていない以上、
仮払消費税37円が発生し、その分だけ
期末に購入側が納付する消費税が減ります。
事務用品費も500円から463円になるので
差額分(消費税分)の利益が生じますから、
そこに税が37円×20%≒7円課せられますが、
国の税収は差額の30円減少します。
つまり、どちらにしても国が損をして、
売却側もしくは購入側の法人が
得をするという構造になるわけです。
租税法の原則の1つに「課税の衡平」がありますが、
そこから考えてもこれは変な話になりますよね。
しかし、消費税が直接税ではなくて間接税であり、
かつ免税事業者という制度を持つ以上は、
これは避けられない計算構造の欠陥なのです。
これだけパソコンが世の中に普及して、
帳簿・家計簿を楽に作成できるソフトも、
有料・無料含めて様々に存在する今では、
「事務負担の軽減」を理由に免税事業者制度を
設けていることの合理性・妥当性は
ほとんど無くなっているのかもしれませんが……