JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

消費税の仕組み(その3)

(その2)を読む< >(その4)を読む


国税庁ホームページ吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


「消費税の仕組み」第3回の今回は、
(その1) と (その2) で
書いてきた課税と納税のシステムについて、
追記というか、補足的な内容を
書いてみたいと思います。


まず、(その2)の(図4)で示した、
「メーカー」→「卸売業者」→「小売店」→「消費者」という流れから
最後の「消費者」を外した(図5)を下に用意しました。


「メーカーは卸売業者が自分のところから買った品物を
商品として小売業者に販売しているのか、
それとも自社内で消費使用してしまっているのか把握できず、
卸売業者は小売業者が自分のところから買った品物について、
商品として消費者に販売しているのか、
自社内で消費使用しているのかを把握できない」
と、前回私は書きましたが、これは、
小売業者が仕入れた商品を自ら消費使用したパターンになります。


(図5)



ご覧いただければお分かりいただけると思いますが、
この場合についても、基本的に(図4)と何も変わるところはありません。


消費税を負担すべき、
国内で消費活動を行った者が「消費者」から「小売店」になっただけで、
担税者と納税者の関係、納付すべき税額の計算方法は同じです。
もちろん「卸売業者」が、
仕入れてきた商品を自ら消費使用を行なった場合も
同様の結果になりますので、よろしかったら一度、
計算をしてみてください。


続いて、小売店が海外に商品を輸出した場合、
すなわち、国内で消費が行われなかった場合を考えてみましょう。


下の(図6)をご覧下さい。


(図6)



消費税は国内での消費使用活動に伴って発生する税金です。
ということは、商品が海外に持ち出され
海外で消費使用されることになった時点で、
それは消費税の課税対象外である、ということになります。


当然その販売価格に消費税がかかるわけがないので、
輸出価格は税抜価格である1,000円。


もともと消費税が発生しないということは、
即ち担税者が存在しないわけですから、
その者に代わって税金を納める納税者もまた存在しないはず。


ですから、輸出される商品については
「メーカー」の「卸売業者」に対する販売価格にも
「卸売業者」の「小売店」に対する販売価格にも
消費税を課す必要が無いはずです。


ですが、自分が販売した商品を誰がどの段階で消費するのか
それを売った側には分からないのと同様に、
自分が売った商品が国内で消費されるのか輸出されるのかは、
このモデル図の中の「メーカー」や「卸売業者」には
基本的に、分からない話です。


その商品が国内消費される可能性が排除できないのであれば、
販売サイドとしてはそれを前提にして、
国内消費される場合に預かるべき消費税を上乗せした価格で売り、
そして預かった消費税を国に納付することになります。


輸出する場合には消費税が発生しないはずなのに、
納付税額があるのはおかしいと思われるかもしれません。
が、(図6)において説明させていただいたいるように、
「メーカー」が納付した5円と「卸売業者」が納付した20円は、
その税額を負担していた「小売店」のところに還付され
国の税収は最終的に合計0円になりますので、
そもそも納付がされなかったのと同じことになるので、
問題はありません。




(その1)、(その2)、そして今回の(その3)と、
ここまでの説明で、消費税という税金の基本的な仕組みは
ご理解いただけましたでしょうか。


次回、(その4)では、海外から商品を輸入した場合の話をして、
国内仕入れと合わせてのモデル図など、
掲載しようかと思っています。