JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

消費税の仕組み(その6)

(その1)から読む< >(その7)を読む


国税庁ホームページ吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、

宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


(その1)(その2)から

随分と間が開いてしまいましたが、

平成23年度の消費税2大改正項目の

2つ目である、仕入税額控除の改正について

今回は書いてみたいと思います。


仕入税額控除を語る場合には、

その前に説明しておかなければならないのが、

消費税の非課税取引。


以前書いたように消費税法の規定により、

「国内において」

「事業者が事業として」

「対価を得て」

「資産の譲渡等を行なった」

取引については消費税課税の対象となります。


ですが、この4要件を満たしている場合でも、

消費税が課されないものがあるのです。


その理由は社会福祉政策的なものだったり

消費税の考え方に合わないからだったりで、

法の別表に該当する項目が列記されています。


国税庁タックスアンサー 消費税「非課税とされる取引」)


上記リンク先をご覧いただいてもいいのですが、

せっかくですので、ここでも簡単に、

項目名を書いておくことにします。


1)土地の譲渡及び貸付け


2)有価証券等の譲渡


3)支払手段の譲渡


4)預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供


5)郵便事業株式会社、郵便局株式会社などが行う
  郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における
  印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡


6)商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡


7)国等が行う一定の事務に係る役務の提供


8)外国為替業務に係る役務の提供


9)社会保険医療の給付等


10)介護保険サービスの提供


11)社会福祉事業等によるサービスの提供


12)助産


13)火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供


14)一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け


15)学校教育


16)教科用図書の譲渡


17)住宅の貸付け


以上に該当する取引には、消費税が課せられません。


これを踏まえていただいたうえで今後は、

例として分かりやすいところで、

13)に該当する「車イス」を題材に、

色々と説明をしていきたいと思います。



まずは、消費税の仕組み(その2)で書いた

下の(図4)を見てください。



   (図4)


詳細な説明は上記リンク先、

「消費税の仕組み(その2)」を読んでいただくとして、

本来の税金負担者である最終消費者が支払った消費税を、

売店や卸売業者、メーカーがそれぞれに分担して

代理納付しているという消費税の構造を

ここで再度理解していただきたいのです。


また、小売業者が仕入れた商品を自ら消費した場合の

モデルである(図5)も、合わせて再掲します。



   (図5)


この(図4)と(図5)との複合的なモデルとして、

(図4)において消費者に販売した物品が、

卸売業者から課税取引により仕入れた物を材料とした

消費税が非課税となる「車イス」だったケースがあります。


この場合は、販売店(=車イス工場)は消費者から

消費税を預かるということが無いわけで、

自分が支払った消費税を差引く対象となる

売上があったことによって預かった

消費税が存在しないということになります。


以下の(図11)をご覧ください。



   (図11)


この図のように、こういったケースにおいて

消費税を実際に負担することになるのは、

消費税が課せられる行為である材料の消費を行った

「車イス 工場」ということになり、

その負担すべき税額25円は、

材料の仕入れ先である卸売業者と、

製造元であるメーカーがそれぞれ分担して

「車イス 工場」に代わって税務署に納付します。


それでは、この工場が「車イス」と同時に、

消費税が課せられる商品、

そうですね、例えば「事務イス」も

製作販売しているとしたら、どうなるでしょう。


次回は、そういった複合的な事例から、

消費税の仕入れ税額控除の原則的方法について

説明したいと思います。