消費税と地方消費税(その2)
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
昨年の12月11日のエントリで
我々が消費税と読んでいるものが
実は2種類に分けられるという話をしました。
すなわち、「消費税」と「地方消費税」です。
現行の消費税率である8%と今年の10月になって
10%に増税された後の軽減税率の8%では
同じ8%であっても大きな違いがあると
いうことを、予告通りに説明します。
端的にいえば、消費税の計算方法により、
両者に違いが生じることになるのです。
例えば1,000円の品物を購入したとして、
これに課せられる消費税等の合計額
1,080円を最初に納付税額として算出して、
しかる後にこれを消費税と地方消費税に
按分していくという計算方法であるならば、
納付する税額の合計は80円で変わりません。
しかし、実際に消費税の税額計算をする際に
行われるのは、次のような手順になります。
最初に税抜金額に国税である消費税の税率を
乗じることで納めるべき税額を計算したのち、
その消費税(国税)の税額(100円未満切捨)と
地方消費税(地方税)との比率を用いて
納めるべき地方消費税の納付税額を算出します。
現在の税率は 国:地方=6.3:1.7 になっているので、
算式としては、税抜の対価の額に一度 6.3/100 を
乗じることで算出された税額(100円未満切捨)に
17/63 を乗じて地方消費税を算出するわけです。
これが故に、納付税額の差異が生じるのです。
具体例を用いて、従来の8%と軽減税率の8%で
計算とその結果の納付税額がどう変わるのかを
示してみると分かりやすくご理解いただけるでしょう。
算出税額の違いを分かりやすくするために、
ここでは敢えて綺麗な数字は使わずに
1,166,400円(税込)という課税標準を
用いることで説明をしたいと思います。
<対価額の8%相当額>
1,166,400×8/108=86,400
<従来の8%の場合>
(国税)
1,166,400×6.3/108≒68,000(100未満切捨)
(地方税)
68,000×1.7÷6.3≒18,300(100未満切捨)
(納付税額)
68,000+18,300=86,300
<軽減税率の8%の場合>
(国税)
1,166,400×6.24/108≒67,300(100未満切捨)
(地方税)
67,300×1.76÷6.24≒18,900(100未満切捨)
(納付税額)
67,300+18,900=86,200
納付税額が明らかに異なっていることが
お分かりいただけるのではないかと思います。
これで何が面倒になるのかという話ですが、
消費税の納税義務者が会計ソフトを使って
申告書を作成し納付をしているのであれば、
区分の処理を間違えるようなことさえなければ、
会計処理と税額計算だけでに限定すれば
さほどややこしくはならないかもしれません。
ただ、税理士試験の受験生が手計算で税額を
算出しなければならないような場合は別です。
正直、底意地の悪い問題を作ろうと思えば
いくらでも捻くれた設問ができる状況であり、
これから消費税を受けようとする受験生には
頑張ってくださいとしか言えません。