消費税と地方消費税(その1)
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
来年の10月には消費税率が10%に
引き上げられると同時に軽減税率が
一部の物品に対して適用されるように
なることがほぼ確定的ですが……
増税前から続いているリース契約や
長期の建設工事などに関しては
5%から8%になった時と同様の
経過措置が適用されるでしょうから、
増税後は同じ8%でも厳密に言えば
2種類の8%が存在することになります。
それだけであれば話はシンプルなのですが……
実はこの2つ、表面的には「8%」という数字に
全く違いがないように見えていながらも、
実際の税額計算上は、かなり違うのです。
その違いを理解するためにはまず最初に
世間一般でいう「消費税」が実は2種類の
税金からなっているものであるということを
ご理解いただかなければなりません。
といって、話はそんなに難しくはありません。
要するに、私達が普段負担している消費税には
国税部分と地方税部分が存在しているのです。
平成元年の導入時に3%の税率だった時代は
全てが国税だったのですけれども平成9年に
5%になった時点で増税部分の半分、
すなわち1%については地方消費税として
地方自治体の財政に回されることになりました。
つまり、私達が日常で使ってる「消費税」は実は
消費税と地方消費税からなっているのです。
税理士や会計士、国税職員などがしばしば
「消費税等」という言葉を使っているのは、
実はそういう事情があってのことなのですね。
当初は5%に対する1%、すなわち全体の20%
という割合だった地方消費税は、その後税率が
平成26年に8%となった時には21.25%の
1.7%となり、来年の増税時にもその割合を
22%に増やすことが既に決まっています。
地方消費税の割合が段々と増えていくのは
社会保障費の増加と密接に関係していて、
要するに少子高齢化社会の進行と共に
年金や高齢者医療、介護の費用負担が
地方自治体に重くのしかかってきているという
実情を反映した結果であるといえるでしょう。
で、そんな事情が存在していることを受けて、
来年10月の改正前後で消費税総額に占める
地方消費税の割合は変わりますから、
税率変更後の8%とその前の8%とでは
地方消費税のパーセントが違っています。
経過措置による8%は平成26年改正時のまま
地方消費税は1.7%なのですけれども、
来年10月以降の軽減税率8%の場合は
地方消費税のパーセントは1.76%になります。
これを一覧表としてまとめてみたのが、下の図です。
図の上にカーソルを合わせてクリックしていただくと
別ウィンドウが開いて拡大表示されますので、
是非一度ご覧になっていただければと思います。
なお、合計したら8%なのが同じであるならば
結局なにも変わらないのではないかと
思われる人もいらっしゃるかもしれませんけれど、
それは実はそうでもなかったりするのです。
とはいえ少しばかり話が長くなってしまいましたので、
その辺りのことはまた別の機会に説明いたします。