JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

「相続税がかかる贈与財産」

吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


ちょっと時間があいてしまいましたが、
前々回の「本来の相続財産」、
前回の「みなし相続財産」に続き、
今回は、相続財産の区分の3つ目、
相続税がかかる贈与財産」について
説明をさせていただこうと思います。


いきなり話が逸れるようで恐縮ですが、
本題に入る前に認識していただきたいのが
相続税法が「一税法二税目」の税法であること。


では、相続税法が規定している税目は
相続税と残りもう1つは何なのか、
文脈から既に察していらっしゃると思いますが、
それが贈与税だ、ということになります。


もともと、贈与税相続税の補完的な
意味を持つ税法であると言われています。


相続税が、これまで説明してきたように、
相続人等が相続などにより取得した
被相続人の財産に対して課税されるのに対し、
贈与税は、生きている人の所有する財産を
その人から無償で(贈与により)もしくは
時価と比べて著しく低い価格で取得した場合に、
その財産に対して課税される税金になります。


もともと財産の所有者が死亡することにより
その財産が個人間で移転することに対し、
富の再分配などの観点から課税をするのが
相続税の基本的な考え方なのですが、
では相続税のみで贈与税が存在しないとしたら、
どういうことになるのでしょうか。


税金はできれば払いたくないですから、
となれば相続税が発生するよりも前、
つまり自分がまだ生きているうちに相続人等に
財産を譲ることで税金を払わずに済ませる。


誰だって、そうしますよね。


これを防ぐ為に、生きている人(「贈与者」)から
移転された財産(「贈与財産」)に対して、
その受取人(「受贈者」)が納付すべき税金として、
贈与税というものが相続税で規定されているのです。


この贈与税は、暦年で計算されます。


つまり、1月1日〜12月31日の1年間で
その納税者が無償で取得することになった
財産の価額を合計した金額に対し、
一定の税率により税額が算出されるのです。


さて、相続財産については相続税が、
贈与財産については贈与税が、
それぞれ課されるのであれば
それで問題が無いのではないか。


そのように思われるかもしれません。


しかし贈与税はあくまでも相続税の補完である
という考え方から一定の贈与財産については、
その後に相続が発生した場合において
相続財産にこれを含めることで、
改めて財産の移転に対する税金を
計算し直すということを行います。


この、「一定」の範囲ですけれども、
これは、前々回にも示した下の図にあるように、
「相続開始前3年間の贈与財産」と、
「相続時精算課税の適用を受ける贈与財産」
2つのものから成り立っています。


相続税課税財産の構成


前者については、特に説明の必要は無いでしょう。


相続開始日、つまり被相続人が亡くなった日から
過去3年間の期間中にその被相続人から
贈与を受けた財産については
相続税の課税価格に加算するという規定です。


なお、同一の財産への2重課税になることを防ぐ為に、
加算後の課税価格を基に計算した相続税額からは、
その財産に課せられた贈与税額を控除します。


そして、後者の「相続時精算課税」ですが、
こちらについては説明が長くなるので
今回のエントリでは割愛させていただき、
いずれ、改めて機会を設けたいと思います。



以上、時間がかかってしまいましたが、
相続税が課される財産につき、
3回に分けて簡単に説明をさせていただきました。



贈与税の確定申告開始(2月2日)も近いので、
本当は同税がどのように計算されるのか
ということにも触れられれば良かったのですが、
さすがに文章が長くなってしまいますし、
今回の文脈からは外れる内容なので、
さすがにそこまで書くことはできませんでした。


年間の最繁忙期である確定申告時期となり
仕事もせわしなくなってきていますが、
ペースはゆっくりとにはなりますけれども
贈与税も含む相続税法についての
説明は今後も続けていく予定です。


引き続き、よろしくお願いいたします。