JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

判定結果をどうやって把握するのか

国税庁ホームページ吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

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昨年11月末から12月頭にかけて、

消費税の免税店制度改正について

このブログで採り上げました、


消費税の仕組み (平成23年改正 その1)

消費税の仕組み (平成23年改正 その2)


そこで書いたように、平成25年1月1日以降に

開始される課税期間については、

消費税の納税義務の判定方法が従来のものから変わり、

2期前の課税売上高だけではなく、

前事業年度開始から6ヶ月間のデータも用いるようになります。


一番最初にこの改正の影響を受けるのは、

個人であれば平成25年分の事業から、

会計期間1年の法人であれば12月決算法人の

平成25年12月期からということになり、

つまりそれらの事業者が今年平成24年の1〜6月の期間で

課税売上高もしくは給与等支払額の合計額が

共に1,000万円を超えた場合、

自動的に消費税の課税事業者になる、ということまでは、

上記の「(平成23年改正 その2)」で説明した通り。


制度としては、それはそれでいいとして、

ここで疑問になってくることが1つあります。


それは、事業年度開始から6ヶ月という期間の

課税売上高なり給与支払額なりを、

税務署としてどう把握していくつもりなのか、です。


消費税は申告納税制度を採用しているので

事業者の側から課税標準と税額を申告するのですが、
1事業年度の税額を計算し申告する義務はあっても、

半年経過時点で、例えば損益計算書を提出する、

というような義務は定められていません。


直前年度の確定消費税額が一定額を超えている場合に

6ヶ月または3ヶ月、1ヶ月ごとの

中間申告の義務はありますけれども、

これも、直前課税期間の消費税額を参考に、

その半分、または1/4もしくは1/12を納付する

という簡便的な方式が基本であり、

仮決算を行っての税額計算も選択できるとはいえ、

必ずしも損益計算書の作成を必要とはしていません。


(該当部分の国税庁タックスアンサーはこちら


要するに、現行の法制度、申告や届出の規定では、

今回の改正によって新たに作られた

納税義務の判定方法に対応できないのです。


となれば、何らかの新しい対策が必要になるはず。


ですが、その具体的内容について、

国税庁は現時点ではまだ明らかにしていません。



で、以下はそれに関しての、私の勝手な予想なのですが……



 (パターン1)


法人については税申告書に添付される「事業概況説明書」に

各月の売上と給与の金額が記載されていますし、

個人については確定申告時の決算書に

同項目の月別金額を必ず記載させることにして、

そのデータを消費税の方でも確認し、

以って開始から6ヶ月間の売上と給与等支払額を把握する、

というのが一番シンプルな方法として、まず思いつけます。


ただ、この場合はどうしても事後確認になってしまいます。


まあ、それでも税務署サイドには大した問題は無い、

と言えなくもないかもしれないのですが。



 (パターン2)


事後ではなく、なるべくオンタイムでの確認をする、

全ての事業者がこの改正内容に従って

毎事業年度の6ヶ月目にきっちりとチェックを行って

納税義務の有無を漏れなく判定することを

制度的に担保する為にはどうするかと考えて

次に思いついたのが、

新たな届出制度を作ればいいという方法。


つまり、6ヶ月間の課税売上高もしくは給与支払額が

1,000万円を超えていないことを

各事業者自らが届出により証明しない限り、

その者は翌事業年度に課税事業者になる、とするのです。


そもそも、一昨年9月14日のエントリで書いたように、

「国内において」

「事業者が事業として」

「対価を得て」

「資産の譲渡等を行なった」

場合には、消費税の納税義務が生じるのが基本的考えです。


免税事業者というのは、小規模な事業を行う者にとっては

消費税の会計処理その他の負担が増えてしまう等の理由から、

特例的に消費税の納税義務を免除されているにすぎません。


原則、日本国内で物品の販売

またはサービスの有償提供を行なっていれば、

すべからく消費税の納税義務者になるのです。


ですから、自分が特例の方に該当しており

消費税の納税義務が免除されるのだと証明する義務を

事業者の側が負うというのは、

「原則」と「特例」の関係から言っても、

考え方としては自然なことなのではないかと思うのです。


仮に届出を提出しない事業者がいれば

その者は実際の売上や給与がいくらであったにせよ

翌事業年度から自動的に課税事業者になることになります。


この場合の問題点は、事業者に新たな手間が増えること。


当面の移行期間、猶予期間を設けるにせよ設けないにせよ、

届出を提出する義務があること、

それを怠れば課税事業者になってしまうこと、

これをどれだけ周知徹底できるのかがカギになるでしょう。




と、こうして(パターン1)と(パターン2)の

2種類の方法を私なりに考えてみましたが、

実際に国税当局がどういう方法を採用するのかは、

いずれあるだろう発表を見なければわかりません。


それがどのようなものにせよ、

その際には、またこのブログを使って

皆さんに報告させていただきたいと思います。