JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

消費税の仕組み(平成23年改正 その2)

国税庁ホームページ吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


消費税の納税義務判定における
平成23年税制改正に関する
概略説明の第2回目です。


先に書いたように今回の改正は、
従来のものに加え、前年開始時から6か月間の
課税売上高(または給与等支払額)の金額で
翌年の納税義務の有無を判定するという基準を
新たに設けるというものでした。


今回は、ここで言う「課税売上高」がどういうものか、
簡単に説明したいと思います。



よく誤解されるのですが、
消費税法で言う「課税売上高」の「売上高」は
会計上の「売上高」のみを差している
わけではありません。


この「売上高」は具体的には
「資産の譲渡等の対価の額」のことを言います。


もう少し詳しく言うならば、
「資産の譲渡」「資産の貸付」「役務の提供」の
代金となる金銭等の額、となるでしょうか。


これ等の「資産の譲渡等」の代金の支払については、
現金払だけれはなく、手形による支払や
物々交換その他のケースもあり得ますので、
金銭「等」という言い方をしています。



さて、「売上高」が上記のようなものを差す以上、
それが単純に会計上の「売上」と
イコールで結ばれるモノではないということも、
お分かりいただけたでしょうか。


会計上の「売上」以外で
消費税法上の「売上高」に含まれるものとして
分かりやすいものを挙げるとするならば、
例えば、「雑収入」です。


また、自動車や機械などの固定資産を
売却した時の売却代金も、当然ですが、
この「売上高」に含まれることになります。



さて、ここで、これを踏まえて、
免税事業者である個人事業主
6月の頭において、月末までの累計課税売上高が
950万円程度であることが予想される場合で、
営業用車両の買換えなどを検討していて、
旧車両の下取り価格が70万円と
見積もられているケースを考えてみてください。


この場合に、6月末までに買換えを行うのか、
7月に入ってから買換えを行うのかで、
状況が大いに変わってしまうのが、
お分かりいただけるでしょうか。


前者であれば特定期間の課税売上高は
950万円+70万円=1,020万円となり、
1,000万円を超えてしまうので
翌年は消費税の課税事業者となってしまいます。


しかし、後者であれば特定期間の課税売上高は
950万円のままとなり1,000万円以下なので、
翌年に消費税の納税義務は発生しません。


つまり、このような場合には、
車両の買換えは特定期間が終了してから行う方が、
消費税納税義務の判定上、有利だと言えるでしょう。



その他にも、様々な事例が想定できそうです。


全てそれ等を書いていければいいのでしょうが
それをやっているときりがありませんので、
申し訳ありませんが、個々のケースについては
ここではこれ以上、具体例を上げることはしません。



なお、直前の事業年度が6か月に満たない場合など、
様々なケースについての解説を
国税庁が pdf ファイルで公開しています。


以下にリンクを掲載しておきますので、
関心・興味のある方は是非一度、ご覧下さい。


「消費税法改正のお知らせ(平成23年9月)」


「事業者免税点の判定について
   〜新たに設立した法人等の特定期間〜」



余談ではありますが、後者の、
新設法人の事業者免税点の取り扱いについては、
今回の改正とは別個の話として、
基準期間が無い課税期間(当初2年間)につき、
資本金1,000万円以下であれば
免税事業者となる規定を見直す必要性を
会計検査院が指摘しています。


「消費税の課税期間に係る
   基準期間がない法人の納税義務の免除について」


これは今年の改正点ではありませんが、
来年以降、消費税法の要改正項目として
議論の俎上に乗ってくる可能性が
高いのではないかと思われます。




平成23年度の消費税改正点としては、
今回2回にわたって説明してきた
納税義務判定に関する項目以外にも、
仕入税額控除の改正が大きな柱としてあります。


それについても、なるべく近日、
説明を掲載したいとは思っていますが、
ひとまず、今回は、これにて。