事業承継税制の概要とH23年度改正(その2)
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
前回の(その1)でお約束した通り、
今回は、「事業承継税制」の内容について、
ごく簡単に書いてみたいと思います。
「事業承継税制」、もう少しきちんとした言い方をするならば
つまるところ、読んで字のごとく、
非上場株式等の相続、贈与によって発生する
一見して興味を覚えられる方もいらっしゃるでしょうが、
もちろん、誰にでも、どんな場合でも適用されるわけもなく、
一定の個人が一定の条件を満たした場合にのみ、
その特例の恩恵を受けることができます。
これについても細かく書き出すと切りがないので、
詳しくは、国税庁のホームページで確認いただくということで、
とりあえず押さえておいていただきたいのは、以下の点。
税法におけるこの特例の適用を受けるには、
まず経済産業省で承認を受けなければならないこと。
株式等に係る被相続人または贈与者が、
その株式等に係る会社の代表権を持っていたこと。
その代表者及び特定の関係にある者が
筆頭の株主グループであり、50%超を保有していたこと。
贈与の場合は、その贈与のタイミングまでに
代表者だけではなく、取締役からも退任すること。
新たに株を取得する後継者は先代の親族で、
20歳以上であり、代表権を有すること。
その全てを保有していなければならないこと。
贈与の場合は3年間役員であった者でなければならず、
相続ならばその直前において役員でなければならないこと。
その会社と、特定特別関係会社が
風俗営業会社ではないこと。
雇用の確保という性格もある法律なので、
常時雇用している従業員が一定数いること。
こういった要件を満たして初めて、
この特例の適用を選択することが可能になります。
そして適用を受けた場合には、
前経営者から贈与・相続により取得した株式等のうち、
後継者の保有する株式が
(株主総会で特別決議が可能になる)
その会社の発行済み株式総数の1/3に
一定期間、その納税が猶予されます。
こうして適用を受けた猶予税額については、
その適用を受けた経営承継者が死亡した場合や
さらに新たな承継者に経営と株式を引き継いだ場合など、
一定の条件を満たした時に、
その税額の納税義務が完全に免除されます。
つまり、税金を納めなくても良くなるわけです。
ただ、この猶予には一部または全部の
取り消し要件も定められていて、それに該当した場合には、
相当税額を利子税と合わせて納めなければなりません。
かなり大雑把に説明しましたが、このように、
後継者に与えられる制約・リスクはあるものの、
円滑に事業を後継者に承継し会社を存続させる為に
移転を行った非上場株式につき、
最終的には税金が免除されるこの制度は
魅力のあるものだと言っていいでしょう。
ただ、実際に適用を受けようかと検討をした時に
使い勝手の悪いところがあるのが大きな問題なので、
次回、(その3)ではその辺りについて
説明をしたいと思います。