JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

サラリーマンの確定申告(その2)

吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


前回に続き、サラリーマンと確定申告について、第2回です。


サラリーマンの中には自宅のパソコンなどを利用して
株式投資をしているという人も、いらっしゃることでしょう。


今回は、そういった方で、
株式の売買による譲渡所得、配当所得が
ある場合の確定申告についてご説明してみたいと思います。


確定申告コーナー


まず最初に押さえていただきたいのは、
株式の譲渡を行なった場合の課税関係は、
他の所得とは分けて個別に税額を計算する
申告分離課税制度が適用されるということ。


所得税というの株式の譲渡、
つまり売却をしたことにより利益が出た場合に
その利益の金額に対して課税されます。


年間で購入した株式、売却した株式、
そしてどれだけの利益、あるいは損失が出ているのか。


それをしっかりと把握し管理するのは
以前はかなり手間を取られたりもしたものですが、
特定口座制度を利用することで、
証券会社などがそれぞれの開設者の取引内容を管理して
年末には年間取引報告書を発行してくれるので、
その点についてはかなり楽になったと言っていいでしょう。


また、この特定口座について「源泉徴収あり」を選択していれば
証券会社の側で税金の計算を行なってくれますので、
その場合には確定申告の必要は無くなります。


ただし、開設している特定口座のいずれかが
株式の譲渡について年間合計で譲渡損を出している場合は、
例え「源泉徴収あり」を選択していても、
その人は確定申告をするべきです。


その理由は以下の通り。




(理由1)
その人が複数の特定口座を開設している場合において、
別の口座が年間で譲渡益を出している場合には、
それ等の口座における取引を合算して
税金を再計算することにより、
譲渡益の出ている口座から納めた源泉所得税について
一定金額の還付を受けることができるから。



(理由2)
上記の損益通算を行うことができない場合でも、
その年に行なった株式の譲渡によって損失が生じたことを
確定申告書に一定の書類を添付して申告を行うことにより、
その年の翌年から3年間に限り、
その損失額を繰り越すことができるから。


なお、複数の特定口座を開設している人が
(理由1)の損益通算を行なって、
譲渡益から譲渡損を控除して控除しきれない金額があった、
つまり、譲渡益よりも譲渡損の方が金額が大きかった場合にも、
この損失の繰越を行うことができます。





このことにより、証券会社から送られてきた
年間取引報告書に譲渡損失が記載されている人は、
面倒でも確定申告を行なうべきである、と言えます。


ちなみに損失の繰越とは、
例えば今年の譲渡損が△10万円であった場合に、
来年、再来年、再々来年において譲渡益が出ても、
その合計額が今年の損失である10万円を超えるまでは
利益と損失が相殺され、
課税対象とならないという制度です。


また、株式等の譲渡損については、
本来総合課税の対象である配当所得について
申告分離課税を選択することで、
譲渡損と配当とを相殺できるという制度もあります。


この場合には、配当所得から源泉徴収されていた
所得税につき、還付を受けられることになりますが、
この通算を選択すると、所得税の計算上、
配当控除の規定を受けることができなくなりますので、
どちらを選ぶのが有利なのかは、
事前にしっかりと検討を行なう必要があるでしょう。




税理士に確定申告を頼もうとすると、
どうしてもタダというわけには行きませんが、
給与所得と株の譲渡損益、配当所得だけなのであれば、
ネット上に公開されている
国税庁の確定申告書作成コーナーを使って
譲渡損との損益通算をするパターンと
配当控除を受けるパターン、
双方を試算して比較してみるというのも、
1つ有効な手だと思います。




なお、譲渡損失の繰越控除や
配当所得との損益通算については、
国税庁のタックスアンサーで
図解入りで説明されていますので、
参考までにそちらへのリンクも貼っておきます。


タックスアンサー No.1474