JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

移転価格税制とは

吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


およそ1か月くらい前のことで
あるのに加え、どこでその記事を
読んだか失念してしまったのですが、
確か日経新聞だったかと思うのですけれど、
「移転価格税制」に関する税務当局からの
追徴課税の案件が大企業から中小企業に
広がってきているという記事がありました。


これは1〜2年前から言われていた話であり、
それが改めて新聞に載った、ということで、
だからでしょうか、記事のスペースも
ごく小さなものとなっていました。


つまり「移転価格税制」での税務調査はそこまで
目新しい話題ではないということになりますが、
しかし「移転価格税制」と言われても
それが具体的にどういうものかをご存知の
中小企業経営者は少ないだろうと思います。


簡潔に説明するならば、「移転価格税制」とは
「海外の関連企業との間の取引価格の
操作を通じて所得の海外移転をすることを
防止するための税制」
ということができます。


例えば、日本よりも法人税等の税率の低い国にある
子会社に対して国内の親会社が商品を売る際に、
通常の相場金額よりもずっと低い金額で取引をする
といったようなケースを考えてみればいいのですが、
この場合は親会社の計上する利益の金額は
第3者に同商品を同量販売した時のそれよりも
ぐっと少なくなるということが分かると思います。


つまり、税率の高い日本での利益を少なく計上し、
その分だけ税率の低い外国に利益を持って行くわけで、
これは相互取引の価格を自由にかつ恣意的に決め得る
関連企業間の取引の特徴を使った課税逃れに
あたるのではないかと言われる余地が確かにあります。


そのような考えから、こういったケースでの取引が
グループ外の第3者との取引価格で行われたものとして、
売上金額や利益の金額を計算しなおすことで
適正な税額を企業が納めるようにすること。


それが、「移転価格税制」なのです。


なお、上記の「第3者との取引価格」として適正であると
考えられる価格のことを「独立企業間価格」と呼びますが、
しばしばここは税務当局と企業の間で見解が分かれ、
実際、裁判で国が敗訴するケースもあります。


大企業もこの点についてはしっかりと対応して
税務当局とも十分戦えるだけの材料を
揃えるようになってきているようにも思えます。


だから、というわけでもないのでしょうが、
これまで大企業中心に行われてきた
「移転価格税制」に関する税務調査を
中小企業にまで拡大するという動きが
税務当局に見られるようになっているのは、
中小企業を関与先に持つ税理士事務所の
職員としてはちょっと気になるところです。


まあ、この対象となるような取引をしている
関与先様もそうは無いのですけれども。


なお、「移転価格税制」については
「移転価格税制に関する事前確認の申し出」
という制度も存在してはいるのですが、
中小企業には使い勝手が悪い、かな?