JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

美術品と減価償却(その1)

吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


会計処理の1つである「減価償却」の
基本的な考え方については、
費用収益対応の原則に従って
耐用年数に応じて取得価額を
期間案分して費用化していくということで、
以前にこのブログでもご説明させていただきました。


これについて、より具体的に言うのであれば、
(原則として)10万円以上の資産を購入した時は
その取得した資産につき減価償却を行うことになります。


この場合、購入時に全額を費用計上することはできずに
「備品・消耗品」や「機械及び装置」「車両運搬具」など、
有形固定資産や無形固定資産として一度資産計上した上で
毎年減価償却費を計上していく処理をしなければなりません。


ただし、購入後に使用を続けても時の経過とともに
価値が減少していかないと考えられる資産については、
減価償却を行わない「非減価償却資産」として扱います。


代表的なものとして例によくあげられるのが「土地」であり、
「借地権」や「地上権」などの「土地の上に存する権利」です。


購入後、10年が経過しようと20年が経過しようと
土地が目減りして縮小していったりはしないので、
つまり、その資産価値は減少したりはしない、
ということを考えれば、これは納得していただけるでしょう。


こういった資産の購入価額が費用化されるのは、
それを処分する時、例えば土地を誰かに売却した場合に、
その売却額に対応する原価として認識されることになります。


そして、「非減価償却資産」としてもう1つ例に上がるのが、
「書画骨とう等」、つまり、いわゆる美術品です。


土地とは違い、美術品は期間の経過とともに
退色その他の経年劣化をしていくのではないかと
思われる人もいらっしゃることと思います。


しかし例えば今から100年前、200年前の美術品が
高価で取引されることなどを連想していただけば、
芸術作品として普遍的な価値を見出されている資産と、
耐用年数に応じた減価償却処理という概念とが
相容れないものであるということは、
ご理解いただけるのではないでしょうか。


ちなみに古美術商などが商品として
美術品を購入した場合の扱いですけれども、
これは「有形固定資産」ではなくて「棚卸資産」であり、
販売された時点で売上原価を構成するものですから、
もともと減価償却資産には該当しません。



ちょっと長くなってきましたので、
今回はこの辺で一旦の終わりとさせていただきます。


近日に、その資産が法人税法で規定する
「書画骨とう等」に該当するかどうかの判定方法など、
もう少し細かいところをご説明したいと思います。