相続分と非嫡出子
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
相続が発生した場合において
各相続人が取得する財産については、
故人の遺言や相続人間の協議結果が
優先されるわけですけれども、
民法においても各相続人間で
公平な分配が行われるように、
財産分割の割合が決められています。
その割合を「相続分」と言い、
例えば相続税の申告書提出期限までに
分割協議がまとまらない際のみなし計算や、
相続財産に係る遺留分の計算においても使う、
非常に重要なものとなっています。
相続税に関する概略説明などは
いずれ改めてやりたいと思いますが、
この「相続分」について先週4日、
最高裁大法廷が非常に重要な判断を示しました。
既にニュースでも大きく採り上げられているので、
ご存知の方もかなりいらっしゃると思います。
法的婚姻関係下に生まれた嫡出子の相続分に対し、
婚外子である非嫡出子のそれを1/2としている
民法の規定が憲法違反であるとした判決です。
そもそも「相続分」がどれだけのものになるかは
亡くなった被相続人を起点として
血縁関係の濃さ、何親等であるかによって
決められるものになっているのですけれども、
そこから考えれば嫡出子も非嫡出子も、
被相続人の子である、という点では同じ。
しかも、嫡出であるか非嫡出であるかは
その子が生まれる前に決まってしまっている、
つまり本人に責の無い理由によるので、
そこに「相続分」の区別を持ち込むのは
「法の下の平等」に反するので違憲となる。
理屈から考えてこの判決は納得ができますが、
嫡出・非嫡出には色々と複雑な事情も絡むので、
ケースによっては嫡出子側からして
感情的に納得できないということも多そうです。
理屈と感情はしばしば相反するものですし、
この場合、全ての立場の人が満足するのは
なかなか困難な話だと思います。
今回、最高裁はこういう判断を下したわけですが……
後は、これに対して国会がどう答えるのか、
民法の改正はあるのかどうか、ですね。
とりあえず、判決後の記者会見で菅義偉官房長官は
「立法的手当は当然」という姿勢を示していましたし、
遠からず、民法の改正があるものと思われます。