JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

「医療費控除」と「年末調整」

吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


12月ももう目前となりお客さんのところで
年末調整の話しなどしていると、
しばしば質問を受けることの1つに、
所得税「医療費控除」の話があります。


年間で一定額以上の医療費負担があった場合に
所得税額が減額されるという事は皆さん結構ご存知なのですが、
年末調整の際に社会保険や生命保険と合わせて
「医療費控除」の手続もできると思っている方が
意外と多くいらっしゃるのです。


しかし実際には「医療費控除」は
年末調整の項目には入っておらず
毎年2月16日から3月15日の間に行なわれる
確定申告にて手続をとるべきものとなっています。


なぜ「医療費控除」が年末調整の対象に入っていないのか。
細かいことを言っても仕方がありませんので、
ここはザックリと、「個人情報」だから、と押さえておいてください。


仕事に影響の出るような大病でしたら、
もちろん会社に報告をしなければなりませんが、
そうではないような病気などの中には、
なるべくならば他人に知られたくないような持病もあるでしょう。


そのような情報は、そうそう簡単に勤め先に
明かしたいものではありませんよね。


「医療費控除」を年末調整で受けるとなれば、
従業員本人だけではなく、
その家族の治療歴、病歴も会社に筒抜けになってしまうのですから、
余計にそうです。


これは余談ですが、昨今の「個人情報保護」の流れを受けて、
そもそも「年末調整」という処理そのものを無くしてしまい、
給与所得者も全員が確定申告をするという、
そういう制度にしようという税法改正案も、
民主党税調の素案には入っていたはずです、確か。


インターネットの普及と
国税庁サイトの確定申告特集ページの内容拡充、
そして電子申告や電子納税システムの改良により、
わざわざ有給休暇をとって税務署に出向いたりしなくとも、
サラリーマンが平日夜や休日に自宅で
簡単に確定申告書を作れるようなシステムができつつある現在、
それはあながちリアリティの無い話ではありません。


が、まあ、それはまだこれから検討されるべき話。


現状では月々の給与から天引きされている源泉所得税
年の最後に「年末調整」手続で精算されており、
そこに含まれ無かった所得、
控除されなかった費用などについては、
個々人が確定申告を行なう、というかたちになっています。




そんな「医療費控除」ですが、
一定金額以上の医療費の支出がなければそもそも受けられません。


この場合の「支出」とは、
実際にその年に支払った医療費の総額から、
生命保険などによる医療費の補填額を差し引いた残額になります。


つまり、入院と手術で病院に20万円を支払ったとしても、
生命保険会社から入院給付金や手術給付金を15万円もらっていたら、
「医療費控除」の計算に用いるのは、
20万円−15万円=5万円 ということになるのです。


その上で、この差し引き金額が
10万円または総所得金額の5%のいずれかを超えていれば、
その支出については「医療費控除」の適用対象となります。


総所得金額の5%が10万円以下になるということはつまり、
年間で得た所得が200万円未満だということです。


パートなどで働かれている人の中には該当者も多いでしょうし、
ワーキングプアーで苦しんでいる人にも、こちらの形で
「医療費控除」の適用対象者になるという人はおられるでしょう。




この控除の対象となる「医療費」には、
病院への往復に要する公共交通機関の交通費や、
薬局などでの治療に要する薬品の購入費用なども含まれます。
ただし、治療行為に要した費用で無ければならないので、
健康診断や予防接種などのいわゆる「予防医療」に係わる出費は、
「医療費控除」の対象になりません


また、支払総額から差し引く補填金額の中には、
社会保険の、高額医療費に係わる給付金や、
出産一時金なども含まれますので、ご注意を。


このあたりの、何が含まれて何が含まれないのかについては、
税務署などに事前にお問い合わせいただくのも
いいかと思います。


ただし、確定申告期間の終了も近くなってからの問い合わせは、
先方も忙しくなっていて対応がおざなりになる可能性もありますので、
問い合わせをするのであれば、
なるべく早めにされることをお勧めします。