JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

減価償却とは(その2)

(その1)を読む< >(その3)を読む


吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


年末の忙しさでばたばたしている内に、
気が付けば随分間が空いてしまいましたが、
減価償却」についての説明、第2回です。




前回は、減価償却を説明する前提として、
「適正な期間損益計算」について書きました。


事業活動によって稼いだ利益を計算する為に、
一定の期間内の収益から、
その収益を挙げるのに要した費用を差し引く。
それを計算書類としてまとめたものが、
損益計算書(P/L)です。


ここで言う費用は、大きく直接費と間接費に分けられます。


商品の仕入高や運搬費のように、
その商品の売上に1対1で対応してくるのが直接費、
本社の水道光熱費などのように、
売上と直接的な対応が無いものの
事業活動に伴って発生する費用が、間接費。


直接費は個別に明確な対応関係がありますが、
間接費にはそれが無いので、
支出した日、又はその支出が売上に貢献している日が
どの時期に属しているのかという
期間に着目した対応関係を考えることになります。




さて、ではここで仮に、
取引先を回って仕事を取ってくる為の
営業車があるとしましょう。


この営業車は利益を上げる為に貢献してはいますが、
メーカーから仕入れ、輸送し、販売する商品の流れに
直接参加しているわけではありませんよね。


なので、この営業車の購入費用、維持費用は
間接費だということになります。


会計期間が、仮に1月1日から12月31日までの1年間だとして、
その年の7月1日に100万円の営業車を現金で買ったとします。
この場合、この100万円は全て、
営業車購入費用を支払った年の収益に
対応していると言えるでしょうか。


言葉を変えてみましょう。


この営業車が利益に貢献する期間は、
この年の7月1日から12月31日までの6ヶ月間で
終わるものなのでしょうか。




買ったばかりの営業車を年内に処分する、
あるいは事故など起こして廃車になりでもすれば、
それもまたありうる話でしょう。


けれど、通常は購入した営業車は、
何年かにまたがって使用して行くものですよね。


つまり、この営業車は購入した年だけではなく、
その翌年、翌々年と、複数の年の売上に貢献し、
利益を作り出していくのです。


となれば、収益と費用を対応させるという
「適切な期間損益計算」の考え方からして、
そのような営業車の購入費用の全額を、
購入日の属する会計期間の費用として処理してしまうのは
誤りである、ということになります。


即ち、このような有形固定資産の取得費用については、
その資産が利益に貢献する期間に渡って
少しづつ費用として計上して行くという処理をとるのが
「適切な期間損益計算」に叶う処理方法です。




(その1)の冒頭にも書きましたが、以上の理由により、
設備や備品といった有形固定資産については原則として、
取得日の属する課税期間から一定の年数をかけて
段階的に費用化していく「減価償却」という処理を行なうことが、
会計のルールとして定められています。


直接費と間接費の区分に照らし合わせるならば、
減価償却費(つまり有形固定資産の取得費用)は後者になるのですが、
それは上記の営業車の話から、ご理解いただけるでしょう。




内容が一部ダブったりもしましたが、
2回に渡って書いてきた「減価償却」の基本的考え方については、
ひとまず、ここまでとさせていただきます。


次回の(その3)ではもうちょっと実際の計算に寄った話を
させていただこうかと思っています。