JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

消費税の仕組み(その1)

(その5)に行く< >(その2)を読む


国税庁ホームページ吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


今回から断続的に数回をかけて、
先の参院選でも大きな
争点の1つとなった税金、
平成元年より施行された消費税について
そのあらまし、大まかな仕組みについて説明したいと思います。




最初にお断りしておかなければならないのですが、
一般に言う5%の消費税というのは実は
4%の消費税と1%の地方消費税からなっています。
ですが、この「消費税の仕組み」においては、
皆さんに分かりやすくする為に敢えて、
双方の合計金額を以って「消費税」であるとして
書かせていただきます。






それではまず最初に、消費税というものが、
そもそも何に対して課税する法律なのか、ということから。


これは、税金の名前がそのものズバリを示しているので、
察しをつけやすいのではないでしょうか。
非常におおざっぱな説明ではありますが、
消費税とは、日本国内において行なわれた消費活動に対して
課される税金である、と考えていただいて、
とりあえず問題はありません。


例えば近所の文具店(コンビニでもいいですが)で、
税抜1個100円の消しゴムを買ったとしましょう。


この段階では消しゴムの所有者が店から個人に変わっただけで、
厳密には、まだ消費が行なわれたわけではありません。
家に帰ってから消しゴムを包んでいるビニールを外し、
実際に使うようにならなければ、
消しゴムが消費されたとは言えないでしょう。


消費活動に対して課されるものが消費税ですから、
この段階で初めて税金が発生することになります。
いわずもがなですが、その税額は100円の5%、
即ち5円になります。


この5円を負担し納税するのは、
この話の流れにのっとれば当然、
消しゴムに対して消費活動を行なった消費者本人。


つまり、下の(図1)のような形です。


(図1)



しかし、考えてみてください。


この図のように、消費者の1人1人が、
購入してきたモノを1つ1つ消費したごとにそれを税務署に申告し、
税金を納めていくということは、果たして可能でしょうか。


あるいは年間に消費したモノの一覧表を作って
合計値にまとめてから申告するのでもいいですが、
ともあれそうやって細かく全てを記録して
申告と納税をすることは可能なのでしょうか。


簡単な会計ソフトも安価で手に入りますし、
そもそもこれくらいの集計だったらエクセルで簡単に作れますから、
例えばパソコンを使えないお年寄り等だと厳しいでしょうが、
その人が自分で事業などしていない個人だとしても
基本的には不可能ということはないでしょう。


ですが、納税者にしてみれば
いちいち日々の消費の記録を付けていくのは
どう考えてもあまりに手間ですし、
税務署側にしても、
そもそも、その記録が正しいものなのかどうか、
その確認と証明をどのように行うのかという問題があります。


そこで、消費税の実際の運用形態……というか、仕組みは、
次の(図2)のようになっています。


(図2)



消費者の消費活動を把握するのが難しいのであれば、
その1つ前の段階、すなわち消費者の手に商品が渡った時点で
消費税を課税してしまえばいいのではないか。


この(図2)が表しているのは、そういうことです。


またちょうど良いことに、
この場合の販売者は通常、事業としてその活動を行っていて、
利益を管理し、法人税あるいは所得税の納税申告を行う為に
売上や仕入といった経済活動のすべてを帳簿につけています。


つまりそれは、
消費税導入前からあった税金に関する納税のシステムを
そのまま使うことができるということをも意味します。


消費税という税金を負担するのは、あくまでも消費者ですが、
それを国に納めるのは消費者にそれを販売した事業者。
担税者と納税者が違うこのような税金を「間接税」と言います。


消費税導入の頃の騒動を覚えていらっしゃる人は、
当時、導入前の消費税が「大型間接税」と呼ばれていたことを
思い出されたかもしれません。


売上金額に消費税を上乗せした金額を
商品の販売時に事業者は消費者から支払われます。


受取った金額はすべて自分の収入だと、どうしても考えがちですが、
実は売上に課せられている消費税部分の金額については
上記のように、担税者である消費者から事業者が
一時的に預かった「預り金」にすぎないのであって、
基本、自分の自由に使ってしまえるような性格のものではないのです。


まずここを理解していただくこと、
消費税についての説明を行う場合には、これが出発点となります。




長くなりました。


次は、消費税の納税について、
もう少しだけ突っ込んだ話をさせていただく予定です。