会計上の利益とキャッシュとの乖離 2
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
月次の残高試算表や決算表に
記載されている利益の金額と
実際のキャッシュの動きが
違っていることの主な原因について、
その第2弾を今回は書きたいと思います。
前回 は「売上」と「仕入」の計上時期と
実際の入金・支払タイミングとの違いから、
上記のズレが生じることを説明しました。
今回は、まず「減価償却」について書いてみましょう。
2010年末から翌年にかけて3回に分けて
「減価償却」の考え方や会計処理を
説明していますので、「減価償却」について
分からないという人は下記をご覧ください。
(減価償却とは その1/その2/その3 )
少し前の記述ではありますが、リンク先にあるように
「減価償却」とは資産の購入に要した費用を
購入した事業年度から数年かけて
段階的に損金としていく処理になります。
例えば、100万円で購入した備品を
10万円ずつ10年かけて経費にしていく、
というようなイメージを浮かべてみてください。
この場合キャッシュはローン等を組んでいない限り
購入初年度に全額支払いがなされていますので、
初年度はキャッシュが利益よりも90万少なく、
2〜10年目は逆に10万多いという差が生まれます。
上記の例で、100万円の代金を5年ローンにして
毎年20万ずつ支払っているのだとすれば、
話は更に複雑になるのですが、基本は同じこと。
もちろん一概に言い切れない部分もあるのですが、
「減価償却」とキャッシュの関係は基本的には
金額の高い資産をたくさん保有している事業者程、
利益とキャッシュのギャップは大きくなる、
と思っていただいてもいいのではないでしょうか。
続いて、「借入の発生と返済」について。
これは、借入の発生が利益(益金)になるか、
そして返済は経費(損金)になるか、ということを
考えていただけばお分かりいただけると思います。
もちろん返済に伴って発生する利息については
支払った額が費用となって計上されますが、
例えば銀行からの借入とその毎月の返済の元本は
あくまで事業主と銀行の間で現金が移動したに過ぎず、
そこにとりたてて利益や費用は生じません。
しかしキャッシュにはしっかりとプラスとマイナスが
あるわけで、ここに利益とキャッシュの差が生じ、
借入金額が多い程、あるいはその返済月額が多い程、
この差は大きくなることになります。
少し文章が長くなってきたので今回はこれまでにし、
第3回はちょっと利益とキャッシュの乖離について
これまでとは少し目先の違うものを採り上げてみます。